『月光のカルネヴァーレ』のルナリアルート、ロメオ団長エンドの二次創作SSです。
正確には、ロメオが「ルナリアを止める」を選択した後から、10年後のエピローグまでの間、その中間の時点の話という設定で描いています。
また、このSSには『月光のカルネヴァーレ』システムスクリプト担当の徒歩十分氏の製作後記絵に刺激されて書いている部分があります。
『月光のカルネヴァーレ』のネタバレを含みます。ご注意ください。
男はゆっくりと歩み寄る。
鼻を引くつかせ、小さく舌打ち。彼女の身体からは、残飯の腐臭が漂っていた。狼の嗅覚には、その臭いはひたすらに不快だ。特に感覚の研ぎ澄まされる、満月の夜は。
自ら残飯を被るとは、遊びすぎたか。興に任せた狩りともいえないお遊びを、男は少し後悔する。
だが、満月の夜、狼の餓えは、その不快感すら塗りつぶす。月は未だ天に掛からず、薄く広がる雪雲の向こうに、うっすらと予兆を示すのみ。それでも餓えは、既に男の身体を、どうしようもないほどに満たしていた。
その眼に宿るは狂気。満月の日に、身体の奥から目覚めつつある狼の欲望と怒りが、爛々と滲む。
体中を震わせる女の子。その獲物の瞳から、急に生気が失われる。怯えを顔に残したまま、身動きひとつしなくなる。
「ふん、つまらん」
もう少し泣き叫けんでもらわねば、加虐の欲望を満たせもしない。
しかし、男は獲物が眼を覚ますまで待つ気はない。もう餓えを我慢するのも限界だ。思うままに食らってしまおう。
――その女の生き血は、きっと甘美な味わいで、組織のことも掟のことも、すべてを忘れさせてくれるはず。
男が生きる希望を失った獲物に、その歯を突きたてようとして――あたりからオルゴールの音色が響く。その音色に微かな違和感。
「――?!」
次の瞬間、その獲物が、気絶したのではなく、生きているにも関わらず、本当に活動を止めているという矛盾に気付き、背後から高速で迫るなにかの気配――!
「ちっ!」
狼の勘で、男は真横に飛びのいた。
元いた場所に何かがぶつかり、路地裏に耳障りな金属音を立てる。音と共に壊れたのは、――ディスク・オルゴール?
「あー!避けたらダメだよー!おしおきなのにー!」
そんな場違いな台詞と共に現れたのは、男が今しがた襲おうとした女よりもずっと幼い少女。この場に似つかわしくない膨れっ面を浮かべている。
「なっ、なんだ、お前はっ!」
「お前じゃないよ、イリスだよ!おじちゃんこそ、人をいじめちゃだめなんだよ。人をいじめるのは悪いことだって、ロメオおじちゃんが言ってたもん。いじめっこはイリスが許さないんだから!」
言って両手に持つのは、先ほどのディスク・オルゴール。そのどこかで見覚えある金属の輝きは、――銀!
不味い。銀器は不味い。しかも、接近の寸前まで、あのディスク・オルゴールは狼の視覚ですら認識できなかった。この餓鬼はただものではない。あんなもので身体を切り刻まれては、いくら満月が近いとはいえ、身が持たない。
「くっ!」
知覚した瞬間、男は本能的に逃走を始めていた。
「あっ!逃げちゃダメー!」
後ろからあがる声も耳から排除する。少女が何者かすら考える余裕もなく、足を動かす。
次の瞬間、頬に衝撃。一瞬の間隔をあけてから鋭痛と共に、出血。
頬が切り裂かれ、自分の血が噴出していた。
「ぐ、ぎゃあぁあぁぁああぁぁ!」
全身の狼の血が、その
「逃げちゃダメっていってるのにー」
能天気な声と共に、後ろの少女がまたディスクオルゴールを構える。外見とは異なる、異様な圧力。全身の毛穴から汗が噴出す。今のまま戦えば、殺される。確信に近い予感。せめて、月が昇るまで、変身を遂げるその時まで、逃げなければ、確実に、死ぬ。
「ぅぁ!」
恐怖に突き動かされ、再び駆ける。狭い路地を、駆け抜ける。狼の誇りも体面もかなぐり捨てて。もとよりこの身は堕した狼。規律よりも快楽を。誇りよりも生存を。生き延びることを第一に――。
「ひっ!」
交差点をに差し掛かり、右に曲がろうとしたところで、反転。自分が進もうとした場に槍が突き刺さる。その光沢は、やはり銀。
「あら、雑魚にしては勘のよろしいこと」
目の前には、チェスの
「な、なななななっ、きさまは……?!」
男の驚愕をよそに女が口を開く。
「コルナリーナと申します。あなたを死地へと誘いに参りました」
女は、その声と共にチェスの
「ひっ、あぁぁ!」
危うくその一撃を交わし、逆方向へと男は走る。走る。走る。走る。恐怖と疲労が心臓の動悸を際限なく高め、破裂する。そんな錯覚。路地の曲がり角を右に入ると、
「あ、みーつけた!」
目の前にはイリスと名乗った少女。
「ひゃぁあああぁぁあぁああっ!」
慌ててきひずを返す。逆方向へと走り出す。走って走って走り続けて――。
「うぐぁ!」
足に何かが絡みつき、正面から地面に倒れ込む。
足首に、
「予定より3分26秒の遅れです」
無感情に告げる。
男は何のことかもわからずに、逃げ場を探そうとして――。
その場が大きな空き地であることに気付く。
いつの間にか誘導され、路地裏から追い出されていた。あたりに遮蔽物はなく、目の前には銀器を持った得体の知れぬ女性。更には後ろから、先ほどの二人の気配も感じる。
状況は絶望的。
おかしい。
何かが絶望的におかしい。
本当なら今頃、自分はあの少女の首筋をこの歯で食いちぎり、血肉の千切れる音を耳で聞き、その味を舌で存分に味わって、恍惚の只中にいたはずだった。
なのに今、目の前に広がる悪夢はなんだ?
なにがどうなっている、どうする、どうなる、どうすればいい?
考えても答えは見つからず、呻きばかりが口から漏れる。
「なにが。なぜ、いったい、お前ら、なんでぇ!」
溢れる疑問と恐怖のなか、新たな声が耳に届く。
「おまえに恨みはないがな。みっつ、理由がある」
急に背から声をかけられた。
「――え?あ?」
男は頭が上手く働かず、真っ白な頭にその声を聞く。
「ひとつ、オレはあの子にこの街を案内をしてもらった。借りは返さなきゃならない」
次第に言葉が頭に意味を成してくる。その声は、更に続ける。
「ふたつ、オレはあの子に公演のチケットをあげた。あの子になにかあったら、それが無駄になる」
その言い回しには聞き覚えがあった。
「みっつ、オレはお前に恨みはないが――お前の行為が気に食わない」
その声に、振り向く。そこにあったのは、かつてオルマ・ロッサで見知った顔。彼が以前、畏怖の念と共に見上げていた男の姿。組織の次期
心からの呪詛を込めて、男は彼の渾名を吐き出した。
「グ、
「グ、
呟く男の顔に、ロメオは見覚えがあった。
オルマ・ロッサにいた頃、何度か眼にしたことがあるその顔が、激昂に歪んでいる。名前は知らない。取り立てて交流があったわけでもない。が、それでも胸が小さく軋む。その心情を覆い隠すように、ロメオは次の言葉を口にした。
「今度はこっちから質問だ。おまえこそ、なぜ、こんなことをする」
ロメオの言葉に男が咆える。
「なぜ?貴様が言うか!!組織から逃げ出し、シルヴィオを殺し、オルマ・ロッサを潰した貴様がっ!」
「確かにシルヴィオを殺したのはオレだ。だが、オルマ・ロッサが解体したのはオレのせいじゃない。肥大化した組織はヴァレンティーノ以外にはまとめられなかったんだ」
「おまえとシルヴィオの二人なら、やれたはずだ!オレたちは皆、それを望んでいたっ!」
ロメオは一度、瞼を閉じる。ヴァレンティーノの、シルヴィオの、レベッカの、グリエルモの、皆の顔が頭に浮かぶ。解かっている。ロメオは期待を裏切った。組織を失い、大切な絆を失い、はぐれた狼となった。だが、それはイルマの時のような逃避ではない。これはロメオがした選択だ。眼を開けて言う。
「だが、オレにはその気がなかった、それだけだ」
男の怒気が更に強まる。
「だったら抜けていいって言うのか!オルマ・ロッサの狼たちのことは知らないって言うのか!組織のことも、
「そうだな。おまえがそうなったのも、元はといえばオレのせいだ。けれども、分裂した後も、小さな組織でうまくやっている奴らだっている。違うか?」
ロメオの言葉に男の勢いがそがれた。声も絶え絶えに、男は言う。
「……皆が皆、マルカントニオのようにやれるわけじゃねぇ」
最後には消えるような声。調べは付いていた。オルマ・ロッサ分裂後、この地方にできた狼の組織のこと。その組織が、既にバラバラになってしまったこと。そして孤児の失踪事件が、その組織の崩壊前後から、この地方の各地で始まったことも。
「なら、おまえもマルカントニオのところに身を寄せればよかったはずだ。なぜそうしない」
「あいつの下につけだと?!ごめんだ!グリエルモと共にシルヴィオを陥れたのはあいつだ。オルマ・ロッサを壊し、自分だけヴェネッツィアでのうのうとしてやがる。そんな奴に頭を下げるくらいなら、はぐれていたほうがマシだ!」
男はまだオルマ・ロッサという場に、ロメオが選択しなかった未来に、執着している。その言葉に、ロメオは息を呑む。言葉が次げない。だから、
「くだらない」
男に答えるその声は、ロメオのものではなかった。
「なんだと……?!」
苛立ちと共に、男は視線でその声を追う。いつの間にかロメオの横に、女性が寄り添っていた。
その男にとって耳障りな声が、更に続ける。
「くだらない、と言ったんです。あなたは欲望に逃げてるだけ。狼の欲求を抑えることもせず、他者に頭を下げて頼ることもせず、すべてを誰かのせいにして、罪のない誰かを犠牲にして、恨み言を叫びながら快楽に溺れているだけです」
男は女をにらみつける。人間とは思えない、均整の取れたその顔を。髪をツーテールに纏め上げるその十字の板の輝きは、銀。銀の輝きを見た瞬間、男は理解する。この女は、先ほど自分を追いかけた女たちと同種だ。
伝え聞いた、オルマ・ロッサ分裂の経緯を思い出す。ロメオはオルマ・ロッサよりも、人形との生活を選んだということ。しかもその人形は、数々の狼の命を奪い続けたオルマ・ロッサの宿敵、
そう。この女が、男からオルマ・ロッサという組織を奪った人形。ルナリア。
銀器への恐怖を、怒りが塗りつぶす。男の全身が、怒気で満たされる。
「人形がッ、人形ごときが、知ったふうな口を聞くなッ!!」
ナイフを構え、ルナリアに向ける。その腕を、ロメオが掴んだ。
「やらせない」
ロメオの言動が、更に男の感情を刺激する。ロメオの手を振り解き、思うままに叫ぶ。
「人形はべらせてご主人様気取りか?くだらねぇ。それこそ、くだらねぇ!
「かもな。だが、満月の夜毎に人を食べ歩くおまえは、くだらなくないと言うのか?」
「……っ!!だから、オレを殺すって言うのか。貴様が、オレをッ!」
かつての仲間のその問いに、ロメオは告げる。胸の痛みを抑えて。
「おまえが考えを改めないと言うなら、そうだ。見過ごすわけにはいかない」
ロメオの言葉に、男の何かが崩れた。あるいは、月がより天に近くなり、男の本性を引き出しただけなのか。
「ハッ、ハハッ!考えを改める、だと?貴様、未成熟なガキの肉を食ったことあるか?柔らかいんだ。旨いんだ。たまらねえんだ!満月のたびこの衝動を抑えることなんてできっこねぇ!」
オルマ・ロッサにおいても、子供は殺さないという主義を掲げるものは少なくなかった。だがこの男は、そういった狼の誇りすら捨ててしまっている。ロメオはここに到って確信させられた。
「……後戻り、できないんだな」
「後戻り?!はっ、ははっ、ハハははっツ!バカな。バカなバカなバカな!貴様も知っているはずだ。獲物の咽喉もとに食らいつく瞬間の快感を!悲鳴を聞きながら、皮膚をこの歯で食いちぎり、噴出す鮮血を嚥下する恍惚を!生暖かい血が咽喉に流れ込み、口内がむせ返るほど血の臭いに満たされる時の興奮を!肉を貪り、骨をしゃぶり、精神も肉体も隅々まで陵辱しつくす幸福を!狼だ、オレたちは狼だ、この月夜、この誘惑、この衝動!どうして抑えられる!どうして抑える必要がある!!」
「なら、話は終わりだ」
「はっ!何様のつもりだッ、
男の問いかけに、ロメオは断言する。
「違う。掟がなくても、オレには――」
ロメオの隣には、
「――ルナリアがいる」
「黙れぇ!」
ロメオの言葉を遮るように、飛び掛る男。手にはナイフ。ロメオはすんでのところでその刃を避けた。ルナリアがパルカを構え、動こうとして
「ルナリア、手は出さないでくれ」
言ってロメオは
それも今は過去の話。
ロメオはオルマ・ロッサを裏切った。
組織は解体され、
けれども、ロメオの過去の選択は、現在を無垢の血で染め続けている。過去の残滓は、現在を脅かし続けている。
そして、鉤爪は、いまだこの手に残り、指に馴染む。今もその刃先から、心臓まで鼓動を伝えている。
再度飛び掛ろうと身を屈め、機を窺う男。その眼は、満月に狂い、血を欲する狼のもの。
過去にロメオの到着が遅れたせいで傷ついた、ジェシカとノエル。
自分のせいで、誰かが傷つく。
もうそんな結果は御免だ。
ならば、ロメオのすべきことはただひとつ――。
償わせて、償う。
ロメオは決意する。人を食う狼を狩り続ける。ロメオの過去が人食い狼を生むというのなら、その罪はロメオが償わせる。それこそがロメオの償い。
「――上等だ!」
ロメオが、狼の脚力で間を詰める。迎え撃つ男の上段蹴りを左手で防ぎ、
「はぐぅあぁ!」
激痛に叫ぶ男。その痛みに、ナイフを手から落とす。
「ちくしょうが!」
男の咆哮。今度は男から飛び掛る。満月の下、爪が生え、筋肉の膨らみ始めた両腕を、薙ぐように振るう。
ロメオは男の右腕を避け、追撃の左腕をガード。そのままその左手首に
「はっ!」
「ぐがああぁぁあぁ!」
銀の傷に男が呻く。
その隙を突いてロメオは足を払う。
大地に仰向けに倒れる男。
その胸に突き立てるように、
だが、男は地面を転がり、ロメオの攻撃を避けた。そのまま距離をとり、ひと飛びに起き上がる。
立ち上がる男に、ロメオが追撃。
「うおおおおぉおぉおおおぉおっ!」
雄叫びと共に足の筋肉を萎縮させて開放し、飛び掛る。
空気を振るわせるほどの、人狼の力による突進。
「ぐおおおぉぉっ!」
男の絶叫。ロメオを上回る驚異的な速さで
「ぐっ!」
ロメオは身体ごと吹き飛ばされ、地面に倒れる。
「ロメオさん?!」
耳を震わせる、ルナリアの声。
「大丈夫だ!」
強打に震える足を押さえつけ、立ち上がる。
あばらが数本折れたようだが、肺や臓器に突き刺さってはいない。満月の夜ならば、すぐに回復する。
今は、怪我以上に厄介な問題があった。
ロメオが男の咽喉を捉えたと思った瞬間、男の動きは、人狼のレベルをも超えていた。
それが意味するところはひとつ。
「ぐぅぅ、ぐるぉ、ぐルゥおおああ!」
男の、いや、男の中にいる狼の雄叫び。
男の筋肉が異常なほどに膨れ上がり、ぎちぎちと呻く。剛毛が体中を覆い尽くす。白く尖った獣の牙が生え、擦れ合い、嫌な音を掻き鳴らす。男の全身が、大きく膨らんでいく。
時間がかかりすぎたか……。
ロメオは心の内で苦々しく呟く。
天には薄い雪雲の隙間に望む満月。
闇夜に月が昇り、狼の時間がやってきたのだ。
ロメオは、自分の中で同様に騒ぐ狼の血を意識する。狼はすぐにでもロメオの理性を食い破らんと、内で暴れている。胸にかけた銀の
「グルゥおアァァおおあオおあオオあおアああおあああ!!」
ロメオのその様を嘲笑わんとする咆哮。
満月に狂う一匹の狼が、広場に姿を現した。
巨大な身体が月の光を隠し、影を落とす。膨れ上がった獣の身体。軋む筋肉の音が周囲に響く。そんな錯覚。皮膚を通じて伝わる存在感。絶対的な圧迫感。人の姿のままでは敵わないのではないか、そう思わせる。ロメオの全身の毛穴が震える。
内のロメオの狼が囁く。狼に変われと誘惑する。狼に変わって血を貪れと。その獣の牙で、裂いて、齧って、食いちぎり、思うままに殺し尽くせと。全身から汗が噴出し、心臓が高鳴る。
だが。
「ロメオさん」
隣からのルナリアの声がする。そのひと言が、ロメオの意識を引き戻す。
彼女がいる限り、ロメオは理性を失わない。失うわけにはいかない。
頭を振って、
ルナリアもパルカを構え、ロメオの横に並ぶ。
「ここからは私も戦います」
ルナリアの口調には有無を言わさぬ硬い意思が感じられる。
これはロメオの過去が生んだ戦い。だからこそ、できれば自身の爪で決着をつけたいと思っていた。しかし、こうなってはロメオ一人の手には負えない。
「頼む」
「はい」
ロメオはルナリアの言葉に肯き、ルナリアはロメオの言葉に肯く。
そして。
「では、私たちも出番ですわね。
銀扇を広げ薄く微笑むコルナリーナ、
「イリスもがんばるよー!」
ディスク・オルゴールを持って張り切るイリス、
「……」
三人が口々に、狼を取り囲む。
「ああ」
四人の言葉を受けて、ロメオは一歩、前に出る。
その動きにあわせて、ルナリアも歩む。
手にはパルカと
ロメオは団長。ルナリアは花形。
イリス、ペルラ、コルナリーナと役者は揃い、対峙するのは人食い狼。
覚悟は心に。武器は手に。後は開幕を告げるだけ。
パルカから10本の銀糸を延ばし、ルナリアが跳躍。
月を遮るその体。
瞬間、周囲が闇に覆われて。
直後に月光のスポットライト。舞台を照らす、月明かり。
天からルナリアの声。
地からロメオの声。
「
「
二人の言葉が始まりを告げ、小さなサーカスの幕が開く。